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OJI Special
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2000円プロジェクト       ハイエンドに迫る ヘッドフォンアンプ 2008/06/1
 
お願い
趣味で楽しむ自作と、売っている製品ではその性質が全く異なります。
市販の製品では、性能よりも「安全性、品質の安定性」などを求めます。接続機器が壊れてもいけません。
目的の回路よりも保護回路の方が大げさ と言う製品もあります。安定性重視で、音質を犠牲にしていることがほとんどです。しかし 自作品は、そういうことよりも 機能や音質を大切にすることができます。

2000円でOJI Special DAMPに迫る高音質と市販品と同じ安定性や保護回路を含んだ回路は当然無理です。
自作の良いところを生かし、 作りやすさや動作、音質最優先 で 保護的な部分は考慮しませんので、それを理解していただき、自己責任で自作を楽しまれてください。
Copyright(C)2008 OJI All rights reserved. No reproduction or republication without written permission

2000円プロジェクト 動作・調整編

調整と言っても何も調整する必要はありませんが、自作時のおきまりで 「本当に動作しているか確認」は絶対に必要です。
動作していないのに 機器を接続するのは、危ない行為です。最悪は機器を壊したり怪我をしたりする場合があります。今回は低圧ですが、真空管などでは 人体に対しても本当に危険です。確実に動作している と自信がもてるまでは注意が必要です。

※編集時 記入間違い等あるかもしれません。あらかじめご了承願います。
1,まず 実際に配線した回路と、配線図とを再度比較して間違いがないことを確認します。
テスターで オペアンプの8番ピンとプラス側の電池のプラス極、オペアンプの4番ピンとマイナス側のマイナス極がきちんと接続されているか確認しておきましょう。また トランジスタの Dタイプ側コレクタが プラス、Bタイプ側コレクタがマイナス側に接続されていることもよく確認します。
2,ボリューム最小(入力をショートするという意味がある)にします。出力には何もつなぎません。
,電池を接続します。プラスとマイナスを絶対に間違えないようにします。逆接は一瞬でも破壊に至ります。
焦げ臭い、異常に熱い部品がある など無いことを確認します。
,まず アイドリング電流を確認します。 R11の両端で 1から3mV程度になっていると思います。
 もし 0Vでしたらおかしいかもしれませんので トランジスタが動作しているか確認します。
,トランジスタのベースエミッタ間が 約0.57V程度であることを確認します。
,オペアンプの 8番ピンが+9V, 4番ピンが-9Vであることを確認。(電池の電源電圧なので 8V以上程度かな?)
,オペアンプの 2-3ピン間 5-6ピン間が 0Vであることを確認します。
、出力端子の電圧を測ります。10mV以下であることを確認します。もし それ以上 である場合には絶対にヘッドフォンを接続してはいけません。
たとえば1V前後以上出ている様であれば回路間違いや破壊を確認します。回路間違いがあれば修正、破壊しているようであれば交換します。破壊という場合には 破壊した原因を追及してからでないとまた壊すことになってしまいます。
,壊しても良い ヘッドフォンを接続してみます。オシロスコープ類があれば 当然こういった計測器で確認すればいいのですが、無いことが多いと思います。壊しても良いヘッドフォンは必須ですね。
10,入力のホット側(RCA入力の中心側)を指で触りながら ボリュームを右に少し回していきます。
ぶ~ っと 50Hzや60Hzの電源周波数の音がすれば まず成功です。左右確認しておきましょう。
11,実際に ソースを接続します。CDプレイヤーやプリアンプの出力などを接続して音を出してみましょう。
あっ! CDプレイヤーなどの出力にDCが出ていないことをあらかじめ確認しておいてくださいね。DCが出ていると それを増幅してヘッドフォンを壊します。特に電源オンオフ時のポップノイズも問題があります。ノイズが出る場合に関わらずボリューム最小にしておくことは重要です。
12、電源を切るときには 最初にヘッドフォンを抜いておきます。これをしないとヘッドフォンを壊します。
もちろん電源投入時もヘッドフォンを抜いておいて オンした後にヘッドフォンを接続します。

さあ いかがですか!? 驚きのサウンドではありませんか!?
たぶん作った多くの方がビックリされていると思います。
初めて聞いた瞬間は 元気が良く 見通しばっちり! 高分解能!
これぞDCアンプ直結の音、ハイスルーレイトの音という感じだと思います。
CDプレイヤーやDACの性能が良ければ マスタリング時の残留ノイズが聞こえるなんて 当たり前! レコーディングした状況が手に取るようにわかる といった表現が分かり易いと思います。
「土と水」では もう最初からあらゆる録音時のベース以外の音が聞こえます。有名な蝉はもちろん 鳥、歩くような音?ザワザワいろいろ聞こえます。
何も足さない、何も引かない これが 高忠実度 というサウンドです。

・・・・とはいえ どんな特性なのだろうか? 気になる人も多いですよね。
まあ 適当に作ったのですから適当に測りますか・・・(笑)
周波数特性は測っても仕方ないと思いますが、一応・・・
56オームの負荷抵抗で きちんとボリュームを通して実動作させ 大きめの1V以下度で測定してみました。
数百キロを超え 1MHz以上・・・・・
あまり測る意味ないですね。
次は矩形波です。
同じように 56オームの負荷抵抗で きちんとボリュームを通して実動作させ こちらも1V以下程度で測定してみました。

写真上は約100KHzの矩形波。
写真下は約500KHzの矩形波。

矩形波を見るとわかるのですが、オーバーシュートがあります。

周波数特性で数百キロヘルツで ピークがあるようなそんな特性です。
本当は 位相補償を入れて ダラダラっと落としてあげたいところですが 余計なことをすると 他に影響がありますしお金がかかります。
変な発振も無いですし、止めておきましょう。
同じように 56オームの負荷抵抗で きちんとボリュームを通して実動作させ 普段聞くボリューム程度 0.1V以下程度の出力で測定してみました。

写真上は約1MHzの矩形波(笑)入力波形もよくありませんね。
写真下はまともに約20KHzの矩形波。
上段が入力、下段が出力です。

こちらはさすがに綺麗ですね。実用的な音量です。実際に聞いてみるとかなり大きな音でうるさいです。もちろん コウモリではないので2KHzで聞いてみました(爆)

さて こういう1MHzと言った周波数領域では まあ オーディオ的には全く聞くことができない周波数ですが、アンプの特性を知る上においては大切です。

56オームの時と約10オームの時での波形を比べてみましょう。スピーカーをドライブするパワーアンプではありませんのでさすがに B級アンプとなりクロスオーバーひずみが見えるか! と 無理をしてみました。
どうやらそれっぽいものが・・・ 電池ですし、正確な測定ではありませんが・・・・・でも これは パワーアンプではありません。10オーム負荷はかわいそうですよね。
そして300KHzでの測定です(爆) 本当かなあ!!?? (笑)
問題点は、空中配線、シールド線も無し の測定なので 60Hzや50Hzと言った電源周波数を拾っています。どの機器でも拾うものですし、どこで拾っているかというと 入力以前なのでこれも考えないことにします。(ますますいい加減だ・・・)
ケースに入れてシールドしたいです・・・(ボソ)
まあ 2000円なので(笑) このあたりにしておきましょう。
ということで 測定云々より音を聞いてみましょう。
そして これが たった2000円!!! そうなんです。
実は このように 簡単な回路で良い音を出すのはもっとも難しいことです。

たとえば トランジスタのもっとも低ひずみの部分を狙ってバイアスをかけて、
なおかつそれを安定させるためにカレントミラー低電流+調整 etc ・・・・・・
と言ったようなことを随所に盛込み自分だけのサウンドを求める と言うことを
しますよね。私もさんざんやってきました。しかし これは1台作るには良いのです。
ただ・・・
高精度の計測器を設計しているとき、私の師匠とも言える先輩が言いました。
「1台作るのだったらそれでも良いでしょう。でも何台量産するのですか? そして調整には時間をかけてはいけません。一番お金がかかります。製品になりませんよ」
この一言で 私の感覚が変わりました。何万台も売れる計測器ではなくても このように考えるのに 量産ではなおさらですよね。と言うことは 難しい調整を必要とする回路は自作派だけに許された楽しみかもしれません。
でも このような難しい自作ができない人は せっかくこの世に存在する音を堪能することができないのです。
そして逆に本当に高音質のサウンドを量産で作る と言うことも本当に難しいことなのです。
だから できるだけ無調整で高音質を得るテクニックが必要というわけです。

 ディスクリエートを超えてその素子を生かすも殺すも設計だけでなく作り方次第
パターン一本でも大きく差が出ます。市販の回路で、きっちりそのICを使い切っている回路はほとんど無いと言っても過言ではないと思います。 どうしても コストが関係しますので・・・・
そして このアンプは 最初にお話したとおり、まだ基本回路だけなんです。本当はもっともっと良い音になります。

また 問題点ももちろんあります。
1,電池がすぐに終わる(爆) そして 変動する。 無信号時でも30mA程度 常時流れています。
2,電源接続 断の時 大きな危険がある(ヘッドフォンを接続できない)
3,保護回路が何もないので 電源オンオフはもちろん、DCが入力に入るとヘッドフォンを壊す危険がある


これでも十分実用で聞くことができますが、普段の生活の中での信頼性となると
1,ACからプラスマイナスのDC電源を作る
2,電源オンオフ時のミューティング回路とDC保護回路が欲しい

3,ケースに入れたい
と言ったことは当然考えられます。
ACからの電源は、三端子レギュレータを使うのがよいでしょう。三端子レギュレータというと馬鹿にする人もいますが、これはかなりの性能です。そして作り方さえ間違えなければ本当によい音がします。
ミューティング回路や保護回路は少し難しいです。
電源オン時にはディレイ、オフ時にはDC側電源が落ちる前に出力遮断。DC検出して それらと連動というようなことを行わなければなりませんし、出力にリレー等入れると音質劣化を招きますので、そういう選択や使い方もかなり難しくなります。

と言うわけですが、すでに「トランジスタがない」と問い合わせがありました。(汗)
似たような規格であればほとんど動く回路なので問題ないのですが、ビギナーの方はもちろん
ベテランの方も心配ですよね。ちょっと安易に考えていました。
考えてみると確かに 工業用としてはディスクリエート部品はどんどん姿を消しています。
チップ部品やデジタルトランジスタなどのスイッチング用はありますが、まさかリールで買うわけにもいきませんし、
これでも買えませんよね・・・・
コンプリメンタリですからそろっていないと・・・??? など不安もあると思います。
(実は自分もこういう不安を味わったことがあります)
んーん せっかく公開したのですし、この音を聞いていただきたいので 何とかしたいと思います。
しばらくお待ちください。m(_ _)m
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